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​読み明かす会(通称:もぐらの会)について

関西の大谷隆さんと小林健司さんの二人が開いている購読ゼミというものに二人で参加し、読むということにとことん打ち込むあの場は、非常に圧力のある場であり、自分自身はどうも圧倒されてしまったのでした。そのように感じたとともに、自分もあのような場を持ちたいという思いがありました。

 そうした中で、今回、中川馨さんと一緒にこうして場を持つことになりました。二人でこの会についての話をし始めると、どうも“もぐる”とか、“一歩一歩じっくりと進んでいく”とか、‘掘る’というような言葉が出てきました。軽快に進んでいくというよりは、険しく暗い森の中を手探りで少しずつ歩き進めていくようなイメージです。それは“深める”というよりももっとなんか泥臭いというか、地道なものであるのです。

 読み明かすとは、明らかにするという意味合いに加えて、夜を過ごして朝を迎えるという意味もあるそうです。それは海底に深く潜って、再び地上に出るようなイメージとも重なりました。読むということを通して、深く深く潜っていく。そうして潜ったことによって、潜ったからこそ見えてくる、拓けてくる世界を見てみたいと思うのです。

もぐると音の近いもぐら。通称の「もぐらの会」は、そのようなイメージから現れました。もぐらは地下にトンネルを掘って生きている生き物ですが、彼らは先代から使っている地下空間を改修・増築しているとのことで、一からトンネルを掘るということはほとんどないそうです。

 私たちの読むという営みというのも、一から始めるというよりも、どこかそうしたもぐらの掘るということにも通じるものを感じました。先人の書いたもの読み、そして自分たちはその少し先へと書いていくような、そんな営みであると思うのです。もぐらという生き物の生態も非常に興味深いです。

2017年1月20日

中川馨

濵田恒太朗

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